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毛詩 解題


‎『毛詩詁訓伝』残、存第六唐風蟋蟀至鴇羽三章々七句。鄭玄箋、奈良朝抄本、巻子一軸、‎
【書 誌】 :初唐写本、延喜頃訓点。本文は楮紙、表紙は新補。尾は欠す[内題より「鴇羽三章々七句」まで。27.2×57.5cmの料紙を5紙継ぐ。天地裁断あり。‎
毎紙23行(但し、第1紙のみ21行)、毎行14字。界高21.0cm。識語なし。‎
‎【本 文】 :詩国風「唐蟋蟀詁訓伝第十」より「「鴇羽三章々七句」に至る113行を存す。敦煌本とともに唐開成石経、宋刊本以前の本文を伝える貴重資料。‎‎
‎‎【訓 点】 :平安中期の初め、延喜年間前後の訓点が加筆されており、漢籍訓点資料の中では現存最古のもの。次ぎのとおり。‎‎‎
(1) 朱点:仮名点、ヲコト点―明経古点、声点―四声。平安中期初、延喜頃。‎
(2) 墨点:朱点の補。平安中期初、延喜頃。‎
(3) 角筆点:仮名点、ヲコト点―明経古点‎
(4) 破音・声点:四声。平安中期初、延喜頃。‎
‎‎【不審紙】 :青紙の添付あり、不讀、不審などを示す。
‎【印 記】 :「雲邨文庫」(和田維四郎氏旧蔵印)。‎
‎【 跋 】 :大正九年五月狩野直喜撰。また年月未詳の続跋を付す。文末に「狩野直‎喜」「子温」「直喜」「君山」など(いずれも狩野直喜氏の印)。‎

‎ 狩野直喜博士は、この本を骨董的な価値を超えて、経義を解する上で役立つ点を高く評価する。もと、山城の国、鳴滝の常楽院に蔵されていたが、大正初めに東京の和田維四郎氏の蔵に帰したという。博士はこの本を和田氏から借りて影印し、内外の学者に配ったのち、大正9年に和田氏に返却するに際して、跋文を書き足し、その学術的価値を宣揚したものである。その後、博士は、この本を敦煌石室遺書にある毛詩残巻(パリ国民図書館)とも対校し、「解覯」、「祛袂末」、「斥取者」など、両者に共通する古形を確‎認しているが、書体の点で、この本が敦煌本に勝ると断じている。‎
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