atoingashu011
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◎山中の溫泉 (東邊道) 老嶺の嶺つたひ臨江へと下りる途中山峽の草叢の中に滾々と湧出するさゝやかな溫泉に出遇つた。自然そのまゝ設備も無いが、去來する雲を映して淸く登んだ《澄んだ》浴槽は何かしら傳說を秘めた靈泉のやうで、季節の早い秋虫のすだくのも山らしい寂しさである。 (印畫の複製を嚴禁す)//◎山中の温泉 (東辺道) 老嶺の嶺つたひ臨江へと下りる途中山峡の草叢の中に滾々と湧出するさゝやかな温泉に出遇つた。自然そのまゝ設備も無いが、去来する雲を映して清く登んだ《澄んだ》浴槽は何かしら伝説を秘めた霊泉のやうで、季節の早い秋虫のすだくのも山らしい寂しさである。 (印画の複製を厳禁す)
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