atoingashu011
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◎草原の朝 (蒙古) 朝まだき見渡す限り天地もなく薄紫に包んだ朝靄がどこからともなく絹を剝がすやうに拭ひ去る頃になると、悍馬に跨つた牧夫の鳴らす長鞭につれて家畜の群が朝露に沾れた草原へと急ぐ。一望遮るものなき曠野はいとも靜かに人も馬も淡い陽光を浴びて淸々しいうちに明ける。 (印畫の複製を嚴禁す)//◎草原の朝 (蒙古) 朝まだき見渡す限り天地もなく薄紫に包んだ朝靄がどこからともなく絹を剥がすやうに拭ひ去る頃になると、悍馬に跨つた牧夫の鳴らす長鞭につれて家畜の群が朝露に沾れた草原へと急ぐ。一望遮るものなき昿野はいとも静かに人も馬も淡い陽光を浴びて清々しいうちに明ける。 (印画の複製を厳禁す)
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