atoingashu009
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●崩れ行く城壁(山西・大同) 遙か彼方の墩臺から烽火が擧つた。一陣の蕭々たる沙風に搖るゝ大旆の下、壁上に長劔を撫する靑年の面上は狼火に照り映えて悲壯の眉宇が漲る。壯士慘不驕、明月沖天に懸る下、寂寥たる夜氣のうち僅かに陣營に蠢動を聞くのみである。かつて塞外に威を誇つた城壁も今その偉容を僅かに靑史に殘すのみで夢を追ふには醜い存在である。 (印畵の複製を嚴禁す)//●崩れ行く城壁(山西・大同) 遥か彼方の墩台から烽火が挙つた。一陣の蕭々たる沙風に揺るゝ大旆の下、壁上に長劔を撫する青年の面上は狼火に照り映えて悲壮の眉宇が漲る。壮士惨不驕、明月沖天に懸る下、寂寥たる夜気のうち僅かに陣営に蠢動を聞くのみである。かつて塞外に威を誇つた城壁も今その偉容を僅かに青史に残すのみで夢を追ふには醜い存在である。 (印画の複製を厳禁す)
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