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●蘇州の街(南支)舊都蘇州の街の午後、陽は斜に屋根越しに照して、天から街頭に吊下つた彼のもの(もの)しい旗や金看板は行人をして一種の威壓をさへ感ぜしめる。集團生活の効果を出來るだけ大きくするために、路巾を成るべく狭くした此の店屋街の光景は、正に近代のアパートメントストア式を實行したものである。舗石の街上に木履の音を聞き水桶を擔ふものを見るのも水郷らしい。店先にカビの臭ひのしさうな靑帙の經史百家を並べて居る本屋をのぞく時、支那の文化はかふした處に轉がつて居るやうな氣がする。(印畫の複製を嚴禁す)//●蘇州の街(南支)旧都蘇州の街の午後、陽は斜に屋根越しに照して、天から街頭に吊下つた彼のもの(もの)しい旗や金看板は行人をして一種の威圧をさへ感ぜしめる。集団生活の効果を出来るだけ大きくするために、路巾を成るべく狭くした此の店屋街の光景は、正に近代のアパートメントストア式を実行したものである。舗石の街上に木履の音を聞き水桶を担ふものを見るのも水郷らしい。店先にカビの臭ひのしさうな青帙の経史百家を並べて居る本屋をのぞく時、支那の文化はかふした処に転がつて居るやうな気がする。(印画の複製を厳禁す)

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