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結婚式前夜の祀り、神に奉納される木偶戯
「猪羊戯」

浙江省舟山群島冊子島
2006年3月6日深夜から7日未明 侯家班、侯雅飛主演  馬場英子録画


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 舟山では、結婚式の前夜に花婿の実家で、花嫁を迎えることを神と祖先に報告する。この日は、舟山木偶戯で最も評判の高い侯家班が招かれ、飛龍剣の一段、「馮世恩出考」が夜7時半から2時間余り上演された。科挙に状元合格し、宰相の娘との結婚で終わるめでたい一段である。門前で爆竹が鳴らされ、紙銭が燃やされ、線香で神迎えをする。終演後、来客に食事がふるまわれて、いったん休憩に入り、客は仮眠のため、帰宅する。新郎の生年月日に基づき選んだ時刻により、午前3時過ぎから、天を祀る「亨献」が始まった。それぞれ15分ほどの「天官大賜福」「十子図」「売子救母」の三つの祝賀劇が、次々演じられる。「天官大賜福」では、福禄寿の三神を中心に神々が勢ぞろいする。「十子図」は息子9人が皆出世し、娘2人も立派な結婚をして、孫も状元合格、結婚をするという夫婦の話。「売子救母」は、貧乏で母の世話ができないため、子を売ろうとしたら、その孝心を愛でた財神から財宝を授かる話。二十四孝の「郭巨埋子」が「埋子救母」となり、「埋める」が「売る」に変化したのだろう。劇中で財神が元宝を授けるところで、新郎が舞台に近づき、財神から元宝を受け取り、「紅包(祝儀)」を渡す。各劇の合間には、新郎とその父が、侯家班の楽の音に合わせて、神への拝礼を繰り返す。三つの芝居が終わると、新郎父子は再度拝礼し、爆竹、銅鑼が鳴る。門口で紙銭を燃やし、神の席に酒や茶を注ぐ。豚の耳を少し切るなど、すべての供え物を少しずつ屋上将軍のためにとりわける。これで神は供応を受けて天に帰って行く。豚や羊などお供えは片づけられ、豚は解体して、一番良い部分は花嫁の家に送られる。代わって先祖を迎える料理が用意され、参列者のための箸、椅子が用意される。再び音楽が始まり、科挙受験の場で、道化役の愚昧な受験生が追い出され、主人公は状元合格する笑劇「周文平出考」、続けて吉報を待つ故郷の母と妻、赤子の元に状元合格の主人公が騎馬で帰還する「天官賜福」が演じられ、「搭脚」と呼ばれる小者が登場し、芝居の終了を告げる。人形芝居の一座は舞台を片付け、始発バスで帰っていった。 本動画では、猪羊戯のうち、「売子救母」を中心に、天を祀る祭祀の流れを示す。お供えの配置ほか、画像資料を参照されたい。なお祝賀劇の詳細は、馬場英子編『浙江省舟山の人形芝居』風響社2011を参照されたい。